それでも、幸運の女神は微笑む
『でしゃばるって、マジにラギアに言ったわけ!?』

『うん、マジに言った』

『アホじゃないの?
ラギアのどこがでしゃばってんの!私のこと心配してくれてんでしょ!』

『ふーん?それ、本当に旭への心配かな?』

『へ?』


間抜けな声を出した私に、夕日はにんまり笑った。



『だって、なんで彼が旭の心配するの?』

『なんでって』

『僕と旭が結託してパーディティ砦に何かするのを心配しているんじゃないの?』


夜の闇のような瞳が、煌めいた。



『普通、よくわからない異世界人よりも、自分のことを考えるよね?』


たぶん、夕日は、とても真っ当なことを言っている。

わかる。そう考えるのも頷ける。


だけど。



『だからってでしゃばってることにはならないでしょ』

『ほう?』

『悪い意味だろうと何だろうと、私を気にかけているんなら、でしゃばってない』


ギッと夕日を睨んだ。


『私の友達に喧嘩売るんなら、私が買うよ』



夕日は目を丸くして、両手を挙げた。


『降参。旭と喧嘩したくはないからさ』

『ラギアはでしゃばってない!わかった!?』

『わかったわかった。友達ならでしゃばってることにはならないものね』


そこまで言って、夕日はスウと目を細めた。

そうして、飄々とした笑みを口元に浮かべてラギアに言う。


「愛し子様と旭は友達なんだ?」

「旭がそう言うのなら」

「へえ」


口元の笑みが深くなる。

黒い瞳が不穏に輝いた。



「決定権は旭にあるんだ」


なんかまたもや微妙な雰囲気かつ何言ってるかわからなかった私は、掴んだままの夕日の襟首を揺さぶった。



『日本語訳を要求するー!』

『ちょ、舌噛む、から!ゆ、さ、ぶ、る、な!』


両手首を掴まれた私は停止した。

夕日はふうとため息をついて、唇を尖らせた。


『つまり僕はどんなことも2回言わなきゃいけないってわけ?』





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