それでも、幸運の女神は微笑む
『挨拶?挨拶って言った?』

『うん。女の子への別れの挨拶だよ』

『はあああああああ!!??』


低音で凄んだ私の手をクイッと引いて、ラギアがこてんと首を傾げた。


「よくわかんないけど、殴ろうか?」

「ちがう!」

「そうだよ殴るなんてひどいよー」

「わたし、なぐる!」

「ぶっ」


私の右ストレートが唸る!!!




『ちょっと!女の子がグーで殴っちゃ駄目でしょ!』

『ああん?女の子の唇を奪った口が何言ってんだよ?』

『うわぁ。ガラ悪ぅ。
おっかしーな。女の子は皆喜ぶんだけどな』

『はああああああ?』



私の襟首掴み再び・・・にならなかった代わりにラギアが掴んでくれた。

そして容赦なく揺さぶるラギア。



「ちょ、な、んで、君、がっ」

「旭イラついてるみたいだから、代わり」

「ラギア、ありがとう!」

「うん」

「いや、これ、いじめじゃ」

「旭、コイツ何したの」

「・・・言える、できない」

「単語がわかんないの?」

「う、あ、その・・・」



それもそうなんだけど!

言えないって!夕日が私のファーストキス奪ったとか・・・!

あれ!?でも、牢に入ったってことはラギアもロイから聞いて知ってる!?


わからない・・・。

いや、でも、知ってるとしても、言えな・・・




「キス、したの」



・・・い?





あれ。夕日何言ったの。ラギアがピタッと停止したんだけど。

何言ったの!!!





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