それでも、幸運の女神は微笑む
ふわふわとした金髪の巻き毛をさらりと揺らし、美少女はこてりと首を傾げた。

コバルトブルーの瞳が真っ直ぐに私に向けられている。



「ラギアが連れ帰った少女って、あなた?」

「ひょ?」


何か聞かれてるみたいだけどわかんない・・・!

ムッシェさん、へるぷみー!


じっとムッシェさんを見れば、苦笑してムッシェさんは何やら話し始めてくれた。


「アイナ、この子は私たちの言葉がわからないみたいなんだ」

「あら、言葉が?
崖の上で魔獣に襲われてたことといい、他国から何者かに攫われてきたのかしら」

「そうかもしれないが・・・違う言葉を話すのは帝国の辺境の民族か南の諸島の民ぐらいだからなぁ」

「確かに、遠いこの国まで来るのはけっこう難儀なことのわりに、この国で人身売買はほぼ禁止されてて割に合わないわよね」



頷き合ったかと思うと、美少女は私の方を見て、にこりと笑った。



「あなた、どこから来たの?」

「ひょ?」

「・・・どうすれば伝わるかしらねぇ。
と、あら?地図があるわね。これを使えば・・・」


机の上に置いてあった地図を見て、美少女は何やら思いついたらしく、ちょいちょいと白くて細い指で私に地図を見るように示した。

地図の左の大陸の端っこを指さし、次に私をピシッと指さして首をかしげる。

その動作を繰り返してくれたおかげで、なんとなく言いたいことがわかった、と思う。


私がそこから来たのか聞いてるんだ。





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