それでも、幸運の女神は微笑む
ムッシェさんはキョロヨロと辺りを見る私を微笑ましそうに見ていて、少し恥ずかしくなった。

これでも私18歳なんだけどなぁ。ムッシェさんは子供を見るような目だな。


・・・ん?そういえば私、18歳って伝えたっけ?

ムッシェさんの年齢もアイナの年齢も聞いてないってことは、私も言ってないかも。



なんて思いつつ奥にあるキッチンに隣接しているカウンターへとムッシェさんに連れられて行く。


キッチンの方から私たちに気づいたおばさんがひょいっと出てきた。

私を見て、きょとんと眼を丸くする。


「ムッシェさん、どうしたんですか、この子」

「愛し子様が崖で魔獣に襲われていたのを助けてきたんだ」

「まあ!愛し子様が?」


ムッシェさんが何か言った途端、おばさんの目がキラキラして私を凝視した。

な、なんだろう。何言ったんだろうムッシェさん。


ムッシェさんに目を向ければ、苦笑してゆるく首を振った。



そ、その反応はどういう意味ですか・・・?!





困惑しているうちに、ガッと強い力で両手を握られた。

何事!?



「愛し子様に助けていただけるなんて・・・なんて幸運な子なんでしょう!
きっと神様に愛されているのね!」

「いしころにたすうけついただく?おー、うんにゃきょ?きゃみゅいあゆされていづ?」

「・・・・・・何言ってるの?」

「ガペラ、その子は私たちの言葉がわからないんだ」

「まあ!言葉が?」

「まあ!こつばんが?」

「・・・・・・・この間違い方はどうなっているのかしら」

「・・・・・・・私も不思議でならないよ」



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