それでも、幸運の女神は微笑む
むごむご繰り返しているうちに、ムッシェさんがガペラさんに料理を頼んだらしく。

しばらくすると、湯気を立てたスープとパンが乗ったトレーを渡された。


「ありがとう、がぷえら」

美味しそうな料理ににこにこして言えば、ガペラさんもにこっと笑ってくれた。



ムッシェさんと私はトレーを持って空いている席に座る。

私たちが座った机は端の方に二人男の人が座っている以外に人はいなかった。

私たちは真ん中の方の椅子に座ったため、男の人たちとは少し距離があった。


さて食べようというときになって、ムッシェさんが何やら言い始めた。

「尊き我らが神よ。貴方がお与えになった愛しき生命の崇高なる犠牲に感謝を。寛大なる我らが神に感謝を」


ぱちぱちと瞬きした。

早口で聞き取れない・・・。


首を傾げている私を見て、ムッシェさんが身振り手振りで食前の挨拶的なことをしていたらしいと推察。

食物と・・・上、天井、空・・・天・・・神様?への感謝ってことなので。


ふむふむと頷いたものの、今の私の言語能力ではその挨拶は不可だ。

なので、日本の普通の挨拶をすると身振り手振りで伝える。

ムッシェさんは、食前食後の挨拶は国によって違うから無理に覚えなくていいと言ってくれた。


よかった!あの挨拶は私には難易度が高すぎるよ!






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