それでも、幸運の女神は微笑む
と、いうことで。

獣と一進一退の攻防を繰り広げていた私は勇気を振り絞って、獣へ向けて駆け出した。


草食草食草食草食草食草食!!!


突然の私の動きに一瞬怯んだような獣。

けれど奴は私の希望を嘲笑うかのごとく向かっていった私の肩に噛み付いた。




「〜〜〜〜〜ッ!!!」



肩から真っ赤な血が噴き出し、激痛に私は地面に転がる。

痛い!痛い!痛い!熱い!


口の周りを不気味な青緑色の舌で舐めて、獣はその赤の瞳を爛々とギラつかせて私を見る。

痛みにごんろごんろ転がる私の体を前足1本で抑え、獣はその大きな口を開けた。



や、やっぱり肉食じゃん・・・。


だらだらと涙を流しながら、私の心を恐怖と絶望が覆う。

こんな訳の分からない所で訳の分からない獣に食べられて人生を終えるなんてあんまりだ。



牙が私の心臓の辺り服に触れたその時。


風が切って、私の視界に、青緑が散った。




・・・え。


何が起こったのかわからないまま、胸元にどおっと獣が倒れ込んできて息が詰まった。

けれどすぐに獣の重みは消えた。




『#%+**#%?』



痛みと混乱でぐんるぐんる回る脳に、訳の分からない音の羅列が響いて。


もう無理お手上げだと、脳は仕事を放棄した。




––––私は気絶した。




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