それでも、幸運の女神は微笑む
恥ずかしさに頭を抱える私。

それをラギアは淡々と、ムッシェさんは興味深そうに見ているのがわかった。


私、珍獣じゃないよ!!!

〈知ってる〉

ですよね!!!



などと頭の中でラギアとのやり取りしていると、ムッシェさんは頷いた。


「よくよく見れば、18歳に見えなくもないな。
・・・やはり目は幼子のようだが」

「ひょ?」

「なんでもないよ」



ゆるゆると首を振って、ムッシェさんは苦笑した。


「18歳、か・・・それじゃあやはり1人部屋が必要か?」

「その必要はないかと存じます」



ムッシェさんの言葉に答えたのは、澄んだ少し低いアルトの声。


声の方––––並んで座っているムッシェさんの向こう側––––を見れば。

栗色の髪を首の後ろでひとつのお団子にした女の子が立っていた。

アイナと同じ紺色のお仕着せを着ている彼女は、紫紺の瞳をラギアに向けてうやうやしく頭を下げた。



「愛し子様、お話中申し訳ございません」

「気にしてない」

「寛大なお心に感謝致します。
・・・ハインド様、彼女の部屋はマーニャと同室でよろしいかと」

「マーニャ、というと確かメイドの1人だったな」

「はい。人数の都合上彼女は今2人部屋に1人の状態ですので」

「そうだったか。だが、アサヒは言葉が通じないのだが」

「彼女は面倒見が良いのでその点でも適任かと」

「なるほど。確かにアサヒを1人にするのも心配だしな」


ムッシェさんはふむと1つ頷いた。


「それがベストだろうな。
提案ありがとうムム」

「いえ。お役に立てたのなら何よりです」




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