それでも、幸運の女神は微笑む
***




その日は不安で不安で一睡もできませんでした————

————なあんてことにはならなかった。




お休み3秒。

ぐっすり熟睡。

熟睡しすぎてマーニャに叩き起こされた。



自分の図太さに乾杯。

いや、ただ単にとんでもなく疲れてたからだったような気もする。


一日のうちに色々ありすぎだったからね・・・。





だけど、目を覚まして一瞬ここはどこ?ってなった。

そんで思い出してさすがにショックは受けた。


起きたら全部夢だった・・・なんて。

そんな甘いことはなかった。


・・・・・・い、いやいやいや。

言葉さえ通じない異世界で成り行きに流されていたら衣食住が整えられて言葉も教えてもらえてってめちゃんこ甘いわ!

みんなに全身全霊で感謝しろ私!!!





『ほんっとうにありがとうございます異世界の皆様!!!』

「突然どうしたの!?」


ごんっと固い寝台に思いっきり額を押し付けて土下座をする私にマーニャのぎょっとした声が聞こえた。

あ。引かれた!?


て、寝ぼけてて日本語で言っちゃったからか!



「まーにゃ!」

「うん?」

「ありがとう」


へらりと笑った私に、きょとんとしたマーニャも笑った。


「あぁ、起こしてくれてありがとうってこと?
気にしなくていいのに」

「ひょ?」

「ふふっ
なんか同室の子がいるっていいなぁ」

「じゃ?」

「なんでもなーい!
顔洗いに行こうよアサヒ!」

「びゅんー!」


「顔」「洗う」「行こう」・・・了解です!マーニャ!





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