それでも、幸運の女神は微笑む
私とマーニャは揃いのお仕着せを着て井戸へと向かった。


私のお仕着せはマーニャに借りたものだ。

背格好があまり変わらないから丈や袖の長さはいい感じなんだけど、ちょっと胸元がゆったりとしているような・・・

いや!気にしたらダメだ!マーニャけっこうあるなーとは思ってたけど!何がとは言わないけど!!


気にしたら、ダメ!!!


あ、昨日私が着ていた服は洗濯するべく持ってきている。

昨日目が覚めたら消えていたコートはムッシェさんが保管しといてくれてるんじゃないかと思う。

もうしばらく着ることはないんじゃないかな。

目立つっていうのもあるんだけど、何よりここ、どうやらもうすぐ春になるらしい。


なるほどだからちょっと暑かったのかぁと納得した。

コートを脱がしてくれたのもさもありなん。治療しづらかったからかもだけど。





でも、ここ、アグネシアにも季節はあるってことだ。

ただはっきりと四季があるのかはわかんないな。
あっちの世界でも気候は場所によってけっこう違ったし。

とりあえず冬と春はあるってことかー。



そしてこれから春。

優しい朝の陽ざしに目を細めつつ井戸で顔を洗う。


持ってきていた布の切れ端みたいなもので顔を拭いていると、マーニャが声をあげた。


「あ!愛し子様!」

「みゅ?」




マーニャの視線を追うと、私たちが出てきた建物の壁に寄りかかっているラギアがいた。




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