それでも、幸運の女神は微笑む
「おはようございます!」

「おはよ」

「お、ふぁ、ようっ!らぎあ!」

「あぁ!アサヒ惜しいっ!」

「・・・・・・」


ぬああああ!朝の挨拶が言えないぃぃぃ!!

唇と舌をむごむご動かす私にラギアが近づいてきた。


無表情で一言。


「もう一回」

「びゅん!
お、ふぁ、よう!ラギア!」

「は」

「びゅびゅびゅ・・・ふぁ、あ、っは!」

「ん。もう一回」

「おはよう!ラギア!」

「うん」



こくりと頷いたラギア。

おお!言えた!?

ぱっとマーニャの方も見れば、にーっと笑って大きく頷いてくれた。



やったあ!



「おはよう!おはよう!おはよう!
らぎあ、まーにゃ、おはよう!」

「ははっ、聞こえてるよアサヒ!おはよう!」

「・・・おはよう」


笑うマーニャ。

淡々としたラギア。


二人を、初春の日差しが照らしていた。




ひどく明るい、朝だった。









***




ラギアは私を迎えに来てくれたようだった。

ラギアも一緒に洗い場に行って、昨日着ていた服を洗って干した。

マーニャとはそこで別れて、ラギアに連れられて行ったのはムッシェさんと初めて会ったあの部屋だった。

今思うとここは薬品のにおいがして、学校でいう保健室みたいなものなのかなと推測。


ムッシェさんは私を見て柔らかく微笑んでくれた。




「おはようアサヒ。
傷の具合はどうだ?」

「おはよう!むっしぇ。
きじゅのうがいはどうじゃ?」

「相変わらずの発音だなぁ。
ここ、大丈夫?」


指差されたのは昨日獣に噛まれた左肩。

ああ、傷は大丈夫って聞かれたのか!




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