それでも、幸運の女神は微笑む
どうやら私はベッドに横たわっているらしい。

薄くて硬い敷布団と薄くて軽い掛け布団が私の体を包んでいる。

着ていたコートはなくなっていて、今の私は灰色のニットと黒のあったかパンツ姿だった。



起き上がろうとした私は、左肩に激痛を感じてもんどりうった。



『いったあああああい!!!』


叫んだら、どこからか足音がしてバンッとドアが開いた。


ボロボロ泣きながら、そっちを見れば、白衣を着た熊のように大きなお爺ちゃんが立っていた。

もじゃもじゃの白髪ともじゃもじゃの白い髭に柔らかな薄茶色の瞳・・・に、似合わずもりっもりに筋肉が付いている。


白熊系筋肉お爺ちゃんは素早く私の側に来て、しわしわのタコのある手で私の額に触れた。


何やら言っている・・・聞いている?


どうやら私になにか質問しているみたい。

だけど、まっったく何言ってるかわからない。

顔立ちから西洋系の人らしいとはわかるものの、その言語は未知だった。

って言っても、私も英語を少し話せるってくらいでフランス語もドイツ語も未知なのだけど。



んんー・・・とりあえず。



『Will you speak English?』


英語で話してくれませんか?と、問いかけてみるも、お爺さんは首を傾げただけ。

そして再び未知の言語で話し始める。


どうやら英語は伝わらないらしい・・・。




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