それでも、幸運の女神は微笑む
〈“偉い人”・・・ではない〉

『あ、そうかなんだぁ。よかったー』

〈なんで?〉

『だって、ほら、呼び捨てだったり、偉い人だったらダメでしょ?』

〈・・・ダメ?〉

『うん。ほら、敬意を払わないと失礼というか、不快にさせちゃうから・・・』

〈ふうん〉

『でも、そういえばラギアは全然嫌そうじゃないもんね!』


にぱっと笑いながら机にトレーを置き、椅子を引いた。



食堂には私とラギアの他に人はいなかった。

ガペラさんも、奥の方へと行ってしまっていた。食器洗いとかしてるんだろなぁ。

マーニャもいるのかなぁ。パンがなかったショックで頭の中から消えてたや。




〈・・・嫌そうじゃなかった?〉

『?うん。
あれ、やっぱり敬語じゃないとダメだった!?』

〈・・・ううん。そのままでいい。
そもそも、敬語とかできるの?〉


普通の単語でさえ怪しいのに?との思いがビシバシ刺さり、うなだれた。

うん・・・。私に異世界言語の敬語は・・・うん・・・控えめに言って、無理、だね・・・。




『え、というかそう言うって、やっぱりラギアって偉い?』

〈さあ〉

『さあってなに!?』

〈食べたら?冷める〉

『あ、そうだね!いただきます!』



って、なんかはぐらかされたような・・・。

まあ、言いたくないんならいいんだけども。


あ。スープ美味しい!具ないけど!美味しい!




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