それでも、幸運の女神は微笑む
〈うん。無い〉

『そっかぁ。じゃあ、これから見つかるかもね!』

〈・・・これから〉

『そうそう。だってラギアってまだ15歳なんでしょ?人生まだまだこれからだからねー!』


うんうん頷く。

あ、ちょっと今の私年上っぽい!


『私もね、修学旅行で初めてミミガーっていう豚の耳の料理を食べたんだけどね!すっごく好きになっちゃって!』

〈しゅうがくりょこう・・・?〉

『あれ、こっちにはないの?
学校の最高学年のときにみんなで旅行に行くんだよ』

〈がっこう?〉

『え、学校もないの!?』



異世界事情にとんと疎い私は、ラギアに学校の説明をしているうちにスープを飲み干してしまった。



『ごちそうさまでした!
私の今の説明でわかった?』

〈うん。こっちにもそれに似たものはあるって聞いたことある〉

『そうなんだ!』

〈そっちほど立派じゃないし、義務でもないけど〉

『そっか。ラギアは通ったことないんだ?』



さっきまでの言い方からしてそうかなと思いつつ聞けば、さらりと答えが返ってきた。



〈俺が通うわけない〉


・・・それ、どういう意味?

通えるほど家庭に余裕がなかったってこと、かな?

いやでもなんかニュアンスが違うような気が・・・。


聞いていいのか悩みつつ、食器の乗ったトレーをカウンターまで届ける。



が、しかし。



〈思考バレてるから聞くか悩む必要ない〉

あっ・・・そうでした。


〈別に、俺はここにいなきゃいけなかっただけ〉

ここにいなきゃいけなかった?





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