それでも、幸運の女神は微笑む
「怪しいですね、貴女」

「俺が連れてきた」

「愛し子様を侮っているわけではありません。
が、怪しいものは怪しいので」

「そっか」

「「引き下がるの早っ!?」」

「ヴヴヴヴヴヴ・・・」

「「なんでうなってんの!?」」



抗議の声をあげたけど、両頬をしっかりがっちりつかまれてるため、言葉にならなかった。

無念ッ!!!



「貴女。どこからいらしたんですか?」

「ヴヴヴ・・・」

「ヴヴヴ?どこですかそこ」

「いや離せよエリィ」

「それじゃあわかんないって」

「そうですね、では」

「ヴヴッ!!?」


一回ぎゅうっと力が強くなってから、パッと手が離れた。

痛い・・・。


ほっぺたに手を当てる私を気にせず、美女はにこやかに質問する。


「もう一度尋ねますが、貴女、どこからいらしたんです?」

「どくかういらすたでそ?」

「・・・愛し子様、お願いいたします」

「わかった」


〈どこから来たのか聞いてる〉

頭の中にラギアの声が響いて、私はやっと質問の意味を理解した。


そうして、元気いっぱいに答える。



「日本!」

「ニュイフォン?菓子店の名前ですか?」


あぁ・・・ニュイフォン再び。

ムッシェさんも言ってたなぁ。


遠い目になりつつ首を振る。


「にゅいふぉん、違う。日本・・・二、ホ、ン」

「二ホン?どこですそこ」

「びゅみゅ、じゃーびゅ・・・」



おそらく異世界にありますとか・・・言えないよなぁ。

信じてもらえなっていうのはもちろんだけど、そもそも異世界をここの言語でどう言えばいいのかわからない。





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