それでも、幸運の女神は微笑む
慌てて元の姿勢に戻る私。

ラギアはそんな私をじっと見ていた。

え、あ、あの、胸を張ったのは特に意味はなくてですね・・・
〈知ってる〉

『ですよね!!』

〈アサヒって、年上か年下か分からない〉

『年上だよ!?どうひっくり返っても年上だからね!?』

私18歳!ラギア15歳!
私3歳年上!!


〈うん〉

『頼りないし情けないけど、ラギアが私に何か頼みたいなとか思ったら頼んでいいからね!めっちゃ頑張るから!!』

〈たぶん頼まない〉

『そっか!!』



まあそりゃそうだよね!私、異世界二日目。異世界超初心ですからね!

でも、まあ・・・。


『こんな私でも、話を聞くくらいはできるってことは、覚えといてよ』



にかっと笑う。

ラギアはやっぱり無感情のままだったけど、頷いた。


〈覚えとく〉

「びゅん!らぎあ、おすすえりゅ!」

〈・・・教えて?〉

「びゅん!おすすえりゅ!」

「教えて」

「ひょ?・・・おすえた」

「教えて」

「みゅみゅ・・・おすえて」

「し」

「すぃ・・・びゅみゅ?し?」

「教えて」

「おしえて!」




言えた!

昨日アイナにがっつり教わった単語だったはずなのに、忘れてるとか怖すぎる。


こんなんで異世界言語マスターになれるのかなぁ。




「らぎあ、おしえて!
あれ!」

「あれ?・・・ああ、ドア?」

「であ?」

「ド」

「で」

「ド」

「でゅ」

「ド」

「でゅりゅー・・・でう、でゅ、ぢ、ど!」

「そう。ドア」

「どあ!」


たった一つの単語を言うのにコレだなんて・・・先が長すぎて目から汗が出そうだ。





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