それでも、幸運の女神は微笑む
そうして私たちはドアから外へ出た。

ラギアの寝床ってこの棟じゃないんだぁ。



「らぎあ、おしえて」

「何を?」

『外!』

「外?」

「卒倒」

「なんで流ちょうに卒倒って言ったの」

「ひょ?」

〈さっきのだと卒倒。すごく上手い発音だった〉


おうふ。自分の訳の分からなさ具合が辛い。


「そっとう・・・そっとー?」

「外」

「そっと」

「外」

「そーと」

「外」

「みゅーみゅ・・・そと!」

「そう」



やったー言えたー!

喜んでいるうちにお城にたどり着いた。


え、なんで?



大きくて美しい、真っ白いお城だ。

今までの砦の質素で堅牢な感じとかけ離れている。





「入るよ」

『ここに!?』


こんな得体の知れない小娘はお呼びでないって感じがひしひしするんだけど!?


〈礼してるから大丈夫〉

『礼?・・・ひっ』



いつの間にかお城の前には大勢の人々が通り道の両脇にずらりと並んで、深々とお辞儀をしていた。



なんで!?



絶賛困惑中の私にお構いなく、彼らは一斉に声を上げた。




「「「お帰りなさいませ、神の愛し子様」」」






なんて言ってるか全然わかんないんだけど大丈夫かな私!

大丈夫じゃない気がする!


私が一人わたわたしているうちに、ラギアはすたすたと人々の列の間を歩いていく・・・・・・って。




『置いてかないで!!!』


私は慌ててラギアに近づこうとして、そっと手を引かれた。






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