それでも、幸運の女神は微笑む
冷や汗は止まったんだけど、釈然としない。

実に釈然としないぞ私は!




『ラギア!』

〈うん〉

『私はどこにでもいる一般人です!』

〈異世界人はどこにでもいない〉

『仰る通り!』


なるほど!私が珍妙なモノであるかのような視線を向けられるのは異世界人だからか!

納得!!!

そうだよね。世界が違うんだもんね。違うところなんてごまんとあるよねぇ~!



うんうんと頷く私に、ボルダさんの呟く声が聞こえた。





「間者、にしては目立ちすぎ堂々としすぎ・・・お嬢さんは本当にただのお嬢さんのようですねぇ」


何を言っているかわからなくて、首を傾げると、ボルダさんはほわわんと微笑んだ。



「ですが怪しいですねぇ。なぜここに?」

「俺が連れてきた」

「おや。愛し子様が、ですか・・・。ふむ」


ほわわんとした微笑みを消して、ふくふくとした手をまあるい顎に当てるボルダさん。



「それでしたら、よろしいでしょう。
そこのお二人もお認めになっているのでしょう?」

「え?あー、まあ。そもそも俺らはそういうややこしいことは管轄外なんで」

「怪しいっちゃ怪しいけど、まあ、別に気にしないかなぁ」

「「いざとなればぶった切ればいいだけだし」」

「お二人らしいご回答ですねぇ」



ロイとロッチェが満面の笑みを浮かべて、ボルダさんがふんわり笑った。

なんの話だろう?楽しい話かな。




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