それでも、幸運の女神は微笑む
ムッシェさんはふむふむと頷くと、ちょっと待ってろとばかりに片手を出した。

座っていたベッドのそばにある木の椅子から立ち上がり、私の脚の方にある棚をごそごそ。


しばらくすると、薄くて白い布と緑色の液体の入った瓶を持って再び私の顔の方へやってくる。

一言何やら言って、私の制服のブラウスのボタンを外す・・・・・・って、ぎゃああああ!?



『何何何何何ーーー!!!???』


あわあわと抗う私。

まるっと無視してムッシェさんはブラウスの第四ボタンまで外してそっと左肩を出す。



と、そこでようやく気づいた。

どうやらムッシェさんは怪我の治療をしてくれるらしいことに。



な、なんて失礼な反応してんだ私・・・!!




右手を顔の前に上げてへこへこ頭を下げた。

ムッシェさんは気にしてないと言うように、柔らかく微笑んで首を振ってくれる。

優しさが痛い・・・!


布に緑色のどろりとした液体をつけて、私の左肩の凶悪な歯型にぺたりと貼ってくれる。

そして細長いその布を左肩にくるくる巻いた。


緑色の液体はどろりとした見た目に反してツンとした匂いですうっとした感触がした。

気持ち悪さと痛みが和らいでいく。




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