それでも、幸運の女神は微笑む
***



「おしいだった」

「「惜しい・・・」」

「ひょ?」

〈“い”が抜けてる〉

「びゅむ!?
お、おいしいだった!」

「うん」

「まあ」

「正しくは“美味しかった”ですがねぇ」

「おいしい、かった?」

「“い”要りませんねぇ」

「おしいかった?」

「違うところの“い”が抜けた・・・」

「そこ抜けたら駄目なヤツ・・・」

〈最後の“い”を抜く〉

「びゅも!おいしかった!」

「うん」

「お上手ですよぉ」

「「“びゅも”って何?」」




異世界言語講座、食堂編パート2!

昨日はムッシェさんとだったけど、今日はラギア、ロイ、ロッチェ、ボルダさんとだ。


なんと先生が3人!贅沢〜

・・・ロイとロッチェは教えてくれているのか疑問だけど。




「おいしかった、おいしかった、おいしかった・・・」


覚えるべくぶつぶつと呟く私に、ロイとロッチェが引いていた。


変なものを見るような目で見ないでよぉ。

こうしなきゃ覚えられないんだよぉ〜


私がじいいっと目で訴えていると。






「いい加減にしてくださいっ!!!」



どこからか大きな怒鳴り声が聞こえた。

驚いてビクッと肩を揺らしたのは私だけで、他の4人は平然としていた。



「怒ってんなエリィ」

「まぁ怒るよねぇ」

「若いですなぁ」



何やらいい交わす3人。


ロイはつまらないような感じで唇を尖らせて。

ロッチェは仕方がないというように苦笑して。

ボルダさんはのほほんと微笑んで。


ラギアは、何も言わず、表情も変えなかった。




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