それでも、幸運の女神は微笑む
なんでみんなそんな平然としてるの!?

私は1人であわあわしてしまう。



「るぁ、ラギア・・・エリィ、びゅおう!、なに?」

〈エリィは、アイナが勝手に決めたから怒ってる〉


それだけだと言うように口をつぐむラギア。

何を勝手に決めちゃったの?

気になる。けど、言えないからわざと省いたんだったら・・・。


聞くべきか否か。

むむむと唸っていると、何やら呆然とした声が前方からした。



「アレでわかるのかよ愛し子様・・・」

「俺、念話の凄さを改めて実感したわ・・・」

「“びゅおう!”ってなんでしょうねぇ・・・」

「どっせい?」

「違う。
どうしたの?」

「びゅん!どーせたの?」

「し」

「せい、すいー、し?」

「どうしたの?」

「どうしたの?
みゅん!ロイ、ロッチェ、ぼるだ、どうしたの?」



満面の笑みで聞いた私が見たもの。

それは、どこか遠くを見る3人だった。


なんでだ?




首を捻ったところで、バターン!と食堂の奥の調理場の扉が開いた。

そうして飛び出してきたマーニャが叫ぶ。


「雑巾がないっ!」



ぞうきん・・・雑巾!

今朝さんざんに私を転ばせた敵のことか!


「敵・・・」


ラギア君、唐突に私の心の声をリピートするのやめて。

ビックリするじゃん。


「うん」

「ありがとう」



こっくり頷いたラギアにこっくり頷き返した。





< 82 / 153 >

この作品をシェア

pagetop