それでも、幸運の女神は微笑む
***


それから。

ロイとロッチェとボルダさんはラギアを連れてどこかへ行ってしまった。


好きにしてていいよ。
この棟の中ならどこに行ってもいいから。

と、ラギアが言ってくれたので。


私はいざ探検だー!と食堂を飛び出した。




––––ら。



『ぶっ』


顔面に何かが激突した。

タイミング・・・!



私の顔面に激突した何かは、強度な私の顔面に弾かれてぽとりと落ちたようだ。

目元をこすりつつ下を見て、慌ててしゃがんだ。


そこにぐったりと横たわっていたのは、漆黒の毛で覆われた小鳥だった。




『わわわわ・・・大丈夫!?』



そっと指先で触れると、パチリと金色の瞳が覗いて。

次の瞬間には、パタパタと私の目線まで飛んでいた。


きらめく金色の瞳は、ラギアの瞳を彷彿とさせて。

気がつけば私は笑っていた。




『ふふっ
ラギアと違って君は慌てん坊なのかな?』

「ぴっ」


澄んだ綺麗な鳴き声が耳に響いた。

返事をしたかのようにも思えるタイミングに更に笑みを深めたとき。





「クロ」



静かな声がして、小鳥は声の方へ羽ばたいていってしまった。

視線で追えば、開いていた窓から小鳥が出て行き、黒いローブに身を包んだ人物の肩に乗った。


黒いローブは足まですっぽりと覆っていて、体に合っていないらしくぶかぶかで体格がよくわからない。

それに、フードを深く被っているため、顔もかろうじて口元が見える程度だ。


あ、怪しい・・・!




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