それでも、幸運の女神は微笑む
◆◆
「ほら、とってもお似合いよ、アイナ。
ねぇ?ジーク」
「はい。さすが母上です。
アイナ、可愛いよ」
「ありがとうございます・・・っ」
「あらあら。アイナは泣き虫さんね」
「アイナ、手で目をこすってはいけない。
赤くなってしまうだろう?」
優しい手が、頭を撫でて。
柔らかな白いハンカチーフが、目元にそっと当てられる。
泥で汚れた鮮やかな赤のドレスは、ふわふわとした桃色のドレスに変わっていて。
泣いてしまったわたくしを責めずに彼らはわたくしを甘やかし。
そんなわたくし達を侍女達が温かな瞳で見守っている。
ここは、わたくしが世界でいちばん好きな場所。
この方達は、わたくしが世界でもっとも愛する方達。
「それで、誰にこんなことされたのかしら?」
「・・・オズワルド殿下たち、に」
お昼を食べた後だった。
お城の植物園に珍しい花が植えられたと、侍女達が話しているのを聞いて見てみたくなった。
それで、植物園に向かおうとしたところにあった馬屋の近くで、オズワルド殿下とそのお友達達に会って。
罵声と共に、馬屋の近くにあった肥溜めに突き飛ばされた。
でも、仕方がないのだ。
わたくしは、国王陛下が戯れに手を付けた庶民の女から生まれた、“賤しい第九王女”。
だから、混じり気のない高貴な血を引く彼らがわたくしを虐げるのは、当然で。
悪いのは、賤しいわたくしなのだから。
「ほら、とってもお似合いよ、アイナ。
ねぇ?ジーク」
「はい。さすが母上です。
アイナ、可愛いよ」
「ありがとうございます・・・っ」
「あらあら。アイナは泣き虫さんね」
「アイナ、手で目をこすってはいけない。
赤くなってしまうだろう?」
優しい手が、頭を撫でて。
柔らかな白いハンカチーフが、目元にそっと当てられる。
泥で汚れた鮮やかな赤のドレスは、ふわふわとした桃色のドレスに変わっていて。
泣いてしまったわたくしを責めずに彼らはわたくしを甘やかし。
そんなわたくし達を侍女達が温かな瞳で見守っている。
ここは、わたくしが世界でいちばん好きな場所。
この方達は、わたくしが世界でもっとも愛する方達。
「それで、誰にこんなことされたのかしら?」
「・・・オズワルド殿下たち、に」
お昼を食べた後だった。
お城の植物園に珍しい花が植えられたと、侍女達が話しているのを聞いて見てみたくなった。
それで、植物園に向かおうとしたところにあった馬屋の近くで、オズワルド殿下とそのお友達達に会って。
罵声と共に、馬屋の近くにあった肥溜めに突き飛ばされた。
でも、仕方がないのだ。
わたくしは、国王陛下が戯れに手を付けた庶民の女から生まれた、“賤しい第九王女”。
だから、混じり気のない高貴な血を引く彼らがわたくしを虐げるのは、当然で。
悪いのは、賤しいわたくしなのだから。