極上の愛をキミへ
風貌は変わってしまった地元だが、懐かしさが込み上げてくる。

変なの。

あたしも、年なのかな?

それとも、疲れてるから?

なんて自問自答している自分が可笑しくて、自然と小さな笑みが零れた。


「結衣」


さっき電話越しで聞いていた声が、耳に届く。

だから辺りをキョロキョロと見渡すと、手を振るお母さんの姿があった。

そんなお母さんの元へ、小走りで向かう。


「すっかり、都会の人になっちゃったわね」


目じりを下げ、優しそうに言うお母さんの言葉が照れくさい。


「そんなことないよ。そう言うお母さんは、皺増えたね」

「失礼な。結衣だって、そのうちこうなるのよ」


口を尖らせるお母さんが可笑しくて、笑ってしまった。

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