極上の愛をキミへ
ずっと、吏斗が勝つことを願っていた。

でも吏斗が言ったように、優勝したのはあたし達のクラスだった。

みんなが喜ぶ中で、あたしは1人落ち込んでいた。

次に吏斗と会った時、どんな顔をすればいいのだろう?

学校が終わり、そんなこと思いながら鞄を手に、玄関へと向かっていた時。

校舎裏で座り込み、頭を下げている吏斗の姿を見つけた。

そんな吏斗に引き寄せられるように、あたしの足は進む。

吏斗の頭上にある窓から身を乗り出し、持っていたタオルを吏斗の頭にそっと掛けた。


『お疲れ』


あたしの声を聞き、ピクッと反応を見せた吏斗だが、こちらを見ようとはしない。


『カッコつけて、あんなこと言ったくせに・・・負けちまった』


少しだけ震えた、吏斗の声に・・・愛しさが募った。

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