極上の愛をキミへ
『今の俺は、何も結衣にしてあげられない。笑わせることも、涙を拭いてあげることも。そんな俺に、結衣を縛る権利なんてない。だから・・・』


吏斗は、大好きだった笑顔で言った。


『幸せになってくれ。俺のことなんて忘れて・・・結衣には、もっと良い人がいる。俺なんかより、もっと相応しい人が』


吏斗の言葉、1つ1つが切なく胸を締め付けた。


『だから結衣、本当にさよならだ』


愛おしそうな笑みを浮かべた吏斗の姿が、ゆっくりと消えていく。


「吏斗!!」


吏斗の名を呼んでみるが、吏斗は待ってはくれない。

引き止めて、あたしは何をしたかったのだろう。

自分の咄嗟の行動に、自分でも理解できなかった。

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