極上の愛をキミへ
「何してるんですか」


あたしの声に、相手はこちらを見る。


「おせぇよ」


あたし、あなたと約束なんてしてない。

文句を言われる義理もなければ、むしろこっちが文句を言いたいくらいだ。

ドアに近づかなければ、部屋に入れない。

でも部屋に近づくということは、必然的に男との距離も近くなるわけで・・・


「何、シカトしてんの」


鍵を開けようとするあたしの腕を掴み、気怠そうな瞳を向ける。

捕まれた腕は熱く、いつもより頬が赤く色付いているような・・・

それに距離が近づいたせいか、よくわかる。

コイツ、絶対お酒飲んでる。

プンプンと香るアルコールの匂いに、あたしは顔を顰めた。

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