極上の愛をキミへ
「どんな方なんですか?その方は」

「興味あるか?」

「これから、その方の下で働かされるもので」

「酷い言い方だな」


なんて言いながら、きっと少しもあたしの嫌味は社長に届いて居ないだろう。

少しは、その図太い神経に響いて欲しいものだ。


「いい男だぞ。そうだ、わたしが仲を取り持ってやろう」

「結構です。困ってませんから」

「高梨くんとあいつが結婚したら、わたしは安泰なのにな」


わざとらしく落ち込む社長に、呆れたように視線を送る。


「朝比奈社長は、生涯蟻のように働き続けてください」

「社長を、蟻に例えるか?普通」

「要件は終わりましたよね?約束、忘れないでくださいよ」

「あぁ」

「では、失礼します」


あたしは軽く頭を下げ、その場を後にした。

< 26 / 285 >

この作品をシェア

pagetop