極上の愛をキミへ
「将生は、わかんない?あたしには、すぐわかったけど」

「ん?」

「わかんないなら、将生は黙ってて!」


亜弥の勢いに、菅原は怯む。


「当事者じゃないあたしには、何も言う権利ないけど・・・」

「言って、聞くから」


俺の言葉に、亜弥は噛み締めていた口を開く。


「どうして?あんな事、言ったんですか?」

「あんな事?」

「死んだ彼だけの人でいてくれなんて」


死んだ彼?


『これから先も、一生吏斗だけの人でいてくれ』


過去に、彼女に言った言葉を思い出す。

あれは、俺の最後の悪あがき。

彼女から吏斗を忘れたくないと言われ、俺は彼女の1番になりたいと思ってしまった。

吏斗でさえ、譲れなかった。

譲りたくなかった。

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