極上の愛をキミへ
それから仕事の引継ぎに追われ、あっという間に来月が今月になった。


「今日からですね?新役員の方」

「そうですね」

「高梨さん、もう会いました?」

「いいえ。皆さんと、一緒です」


いつもより、今日の秘書課は騒がしい。

珍しい、役員の追加。

しかも、その役員が30歳前後。

寿退社に憧れている子たちにとって、彼は優良物件。

みんな、いつもより化粧が濃いのは、あたしの気のせいじゃないはず。


「おはようございます」


そう言い、社長と長身の男と一緒に課長が秘書課に現れる。

それに、みんな業務的に挨拶を返す。


「皆さんに紹介しておきますね。今日から役員に就任された、朝比奈晃生(こうき)さんです」


課長に紹介され、男は軽く頭を下げる。

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