極上の愛をキミへ
行為が終わり、ギュッと男に抱き締められる。


「・・・わりぃ」

「どうして、謝るんですか?」


男の胸に顔を埋めたまま、尋ねる。


「お前の涙に気付いてて、止められなかったから」


あたしは、首を横に振る。


「気にしないでください。自分でも、どうして泣いているのか?わからないで」


男は、更に強い力で抱き締める。


「好きな奴でも、いるのか?」


男の言葉に、彼の顔が浮かぶ。

・・・嫌いだ。

彼なんて、大っ嫌いだ。


「好きな人も、彼氏もいません」


その言葉に、チクリッと胸が痛む。


「無理するな。お前が泣くなら、もうお前には触れない」


男の温もりが、静かに離れていく。

< 83 / 285 >

この作品をシェア

pagetop