夕焼けに奏でる
遥輝side
「あ、」
「どうした?遥輝。」
「あー、教室にスパイク忘れたかも。
取ってくるから俊哉は後輩に指示出して先に練習始めといて。」
「ん、了解。」
教室に俺がスパイクを取りに行くと…
「「あ、」」
確か白石萩花だっけ?
「えーっと、白濱君だよね?」
話したことなかったけど覚えててくれたみたい。
白石さんは確か吹奏楽部でテナーサックスを吹いてる…とか。
周りの男子たちが美人で性格がいい!!って噂してたような…
そういう男子たちの言ってる噂に興味はなかったけど、ここで白石さんに話をしてみたいって思ったのは俺にしては珍しいことだと思う。
「は、遥輝君…」
周りの女の子たちは「遥輝」と勝手にいつも躊躇いもせず呼んでくるから何だか新鮮な気分だった。
ここで思い切ったのは多分ただの好奇心。
「また明日ね、萩花。」
初めて話した彼女は窓の外を眺めていて
その雰囲気がなんとも言えないほど絵になっていて、
俺が想像していたよりも全てが美しい子だった。