薔薇姫《短編》
姫の部屋の薔薇達が自分達の身体の異変に気付いた夜は、奇しくも満月の夜でした。


葉の隅の黒ずみがすこしづつ広がる中、

窓から煌々と差し込む白い光の中で、薔薇達は念じました。


何百年も前、城の庭や姫の部屋のテラスから念じたように。




そして、身を震わせ最後の力をふりしぼった叫びは、一人の男を呼び寄せました。

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