薔薇姫《短編》
「なにやつ!姫をどうした」

客達は逃げ惑い、兵士達がかけつけます。


男はこともなげに鼻で笑うと、王を睨みつけました。

「我は北の森に住む魔術師だ。この城の哀れな幼子の頼みを叶えに来た」

「どういうことだ」

「その者の望みは、姫を娶りこの城で永久に暮らすこと」

「ならん!姫の伴侶はここにいる者達の中から選ぶのじゃ。
その者に王たる資格はあるのか」


王の握りしめた拳がふるえます。

「王?その者はそんなことには興味はなかろうて」


魔術師は高らかに笑うと、ぐるっとその場にいる人々を睥睨しました。



< 4 / 23 >

この作品をシェア

pagetop