板チョコとトリュフ
そしてとうとう来てしまった。

そう。バレンタインデーが。

気持ちが固まらないまま、持ってきてしまったチョコレート。

朝から小林さんが可愛らしくラッピングしたチョコを見て、女子力の違いにがく然とした。

おすそわけとして頂いたものをお昼に山崎さんと食べたのだけれど、とっても甘くて美味しかった。

私が買ったのはシンプルな板チョコ。

もちろん人気ショコラトリーのものではあるんだけれど、ネイビーの包装紙にシルバーのリボンが巻かれたもので、藤田さんの雰囲気にぴったりだと思ったのだけれど…。

女の子らしい可愛さが私にはないんだ。

こんな対象的なチョコ、やっぱり渡せないよ。

悲しい気持ちでいっぱいになっていると、山崎さんが

「北河ちゃん?気分悪い?大丈夫?」

と心配してくれる。

「すいません。何でもないんです。そろそろ3時ですし、皆さんにチョコ配りましょうか。」

無理に笑ってごまかした。

「そうね。でも本当に体調悪ければいつでも言うのよ?」

そう言って小林さんや、他のパートの女子に集まるよう声をかけに言ってくれた。




「皆さーん。お仕事お疲れ様です。今年も女子から、ささやかながらチョコのおすそわけでーす!」

山崎さんが大きな声で言って、女子達で手分けして配っていく。

席にいない人にはメモと共に机に置いていく。

皆笑顔で受け取ってくれて、ありがとう。と言ってくれる。

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