板チョコとトリュフ
藤田さんは、デスクにいて、ドキドキしながら近づいて行こうとしたとき、

「はい。藤田の分。後で私からのも渡すねー。」

と、小林さんが先に渡してしまった。

そしてその言葉に呆然と立ち尽くしてしまった。

分かってたのに、胸がズキリと痛み、泣きそうだ。

「北河ちゃん?」

山崎さんに声をかけられるが、

「あ、あの、すみませんっ。やっぱりちょっとお腹が痛くて、お手洗いに行ってきますっ!」

嘘をついてその場から逃げだした。

トイレの個室に駆け込むと、限界だった。

「っつ…。ひっく…。」

声を殺して、泣くしかなかった。






ひとしきり泣き、くずれてしまったメイクを直していると山崎さんがやってきた。

「北河ちゃん大丈夫?今日はもう帰っていいよ?」

「すみません…。もう、大丈夫です。」

「痛いのは、お腹じゃなくて、胸なんだね。」

泣いた後の私の顔をみて、そうぽつりと呟いた。

「あ…。」

山崎さんはいいのよ。と言って苦笑した。

「コバちゃんが告白するって聞いてから、ずっと元気なかったもんね。」

見事に見抜かれてる。
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