黙ってギュッと抱きしめて
強く、ギュッと抱きしめられる。無言のまま。自分の心臓の音なのか、遥のものなのかわからない。涙があとからあとから頬を伝い、遥のシャツに染みこんでいく。
「…はる…か…?」
「嫌いになるわけねーじゃん、こんなことで。」
「そう、なの?」
「そうなのって…呆れる。マジで。」
そんなことを言いながらも抱きしめてくれる腕は一向に弱まる気配がない。頭が混乱してきた。この前のハグとは違う。してやるよなんて言われていない。一体これは、何のハグだ?
「嫌いになれたら苦労しねーわ。」
「…き、嫌いになりたいってこと?」
「…冷静に、ちゃんと考えろ。」
腕が解ける。そして遥と視線がようやく合った。遥は真っすぐに翼を見つめている。
「…んで、気付いて。自分の気持ちにも、俺の気持ちにも。」
「自分の気持ち…。」
気持ちが絡まっている。色んな思いがそれぞれ好き勝手に伸びてきて、行き場をなくして絡まっている。
「…いろんなことに、疲れちゃった。」
「うん。」
「周りはどんどん結婚していくし。」
「…そうだな。」
「だからといって自分が結婚したいのかもわからなくて。」
「ん。」
「でも、なんか変な焦りは出てきちゃって。」
「うん。」
「仕事も恋愛もキラキラしてないとダメって言われてる気がして。…苦しい。」
「うん。」
「そんなに何でもうまくできるわけない。」
「そうだなぁ。」
「仕事頑張っても、誰も褒めてくれないし。」
「うん。」
「恋愛してなかったら女としてだめって思われるし。…みんなのインスタとかフェイスブックとか見ると、幸せ自慢で疲れちゃう。…私、もうすごく疲れちゃった。」
「気にしなきゃいいのに。」
「それができないから、…疲れちゃったんだよ。」
「うん。翼は真っすぐだから。」
「だから…もうロボットでも何でもいいから、黙ってそばにいてくれて、黙ってギュッと抱きしめてくれる存在がほしくて。」
「いるけど。」
「え?」
「ロボットじゃないけど。黙ってそばにいるし、黙って抱きしめるよ。翼のこと。」
「…はる…か…?」
「嫌いになるわけねーじゃん、こんなことで。」
「そう、なの?」
「そうなのって…呆れる。マジで。」
そんなことを言いながらも抱きしめてくれる腕は一向に弱まる気配がない。頭が混乱してきた。この前のハグとは違う。してやるよなんて言われていない。一体これは、何のハグだ?
「嫌いになれたら苦労しねーわ。」
「…き、嫌いになりたいってこと?」
「…冷静に、ちゃんと考えろ。」
腕が解ける。そして遥と視線がようやく合った。遥は真っすぐに翼を見つめている。
「…んで、気付いて。自分の気持ちにも、俺の気持ちにも。」
「自分の気持ち…。」
気持ちが絡まっている。色んな思いがそれぞれ好き勝手に伸びてきて、行き場をなくして絡まっている。
「…いろんなことに、疲れちゃった。」
「うん。」
「周りはどんどん結婚していくし。」
「…そうだな。」
「だからといって自分が結婚したいのかもわからなくて。」
「ん。」
「でも、なんか変な焦りは出てきちゃって。」
「うん。」
「仕事も恋愛もキラキラしてないとダメって言われてる気がして。…苦しい。」
「うん。」
「そんなに何でもうまくできるわけない。」
「そうだなぁ。」
「仕事頑張っても、誰も褒めてくれないし。」
「うん。」
「恋愛してなかったら女としてだめって思われるし。…みんなのインスタとかフェイスブックとか見ると、幸せ自慢で疲れちゃう。…私、もうすごく疲れちゃった。」
「気にしなきゃいいのに。」
「それができないから、…疲れちゃったんだよ。」
「うん。翼は真っすぐだから。」
「だから…もうロボットでも何でもいいから、黙ってそばにいてくれて、黙ってギュッと抱きしめてくれる存在がほしくて。」
「いるけど。」
「え?」
「ロボットじゃないけど。黙ってそばにいるし、黙って抱きしめるよ。翼のこと。」