偽りの愛言葉
「呼び出し来ちゃってさぁ。仕事戻るわ、俺!」

「そうなんですか…忙しいのに来てもらっちゃって…」

「フッ。気にすんな。俺が勝手に来ただけだから。」


安心させるように、ぽんと頭に手を置いた。


「はい……」

「そんな顔すんなよー!帰りづらいじゃん俺。」


心細そうな顔されちまうと、なんか帰りたくなくなる。


本当は抱きしめたいくらい。


「ちゃんとご飯とか食べて寝るんだぞ?じゃーな。」


名残惜しいけど、我慢出来なくなる前に帰ろう。


早く戻んないと怒られるし、また。


__ギュッ。


「………、」


突然、後ろから服の袖を掴まれた。


歩いてた足を俺は思わず止める。


「いかな…いで…っ。」


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