偽りの愛言葉
「ん…?」


あの後ろ姿、どっかで見かけたような…。


誰だっけ?


「え、風神さん?」

「うぉ、偶然!」


珍しく高く髪をまとめてたから、分かんなかった。


大人っぽい…。


「風神さんも、こういうお店で買われるんですね。」

「笑いながら言うなよ。馬鹿にしてるだろ。」

「そうじゃなくて、意外だってことですよ。」

「どっちにしろいい気しねぇし…」


ま、笑った顔。


見れたからいいけど。


「俺は友達の服に着いてきてるだけ。」

「服選んでくれません?」

「…は?」

「ベンチに座って暇でしょ?」


随分と急なお願いだな…。


なんて、本当は喜んでる自分だけど。


「しゃーねぇな。特別な。」

「やった!」


喜ぶ姿、天使そのものだよな。


一般人には見えないぜ。


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