偽りの愛言葉
「うぉ、フレンチトーストだ。材料足りた?」

「牛乳と卵があったので。」

「いただきますっ。んま…!」

「んふふ、頬張りすぎですよ。顔が変形してます。」


フレンチトーストは美味かった。


甘すぎない甘さが丁度いい。


パン屋でも開けんじゃね?


「いいなぁ。朝に食べたいわ。」

「そんなに気に入ってもらえました?」

「当たり前じゃん。天才すぎ。」

「やった!」


喜ぶ梓ちゃんは、無邪気にガッツポーズをしていた。


俺だったら毎日褒めてあげるのに。


俺だったら幸せにしてあげられるよ。


「幸せだ。」

「えっ?」

「何でもない。」


君と朝食を囲めることが幸せだって。


今だけ感じてもいいでしょ?



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