偽りの愛言葉
「…離して。」

「やだ。行かないって約束するまで。」


本当は分かってるんだろ?


元彼に逢えば、都合の良いように利用されることくらい。


未練があるなら、余計に不利だ。


絶対に傷ついて、ズタズタになるまで玩具のように扱われる。


それを俺は見たくねぇんだよ…。


悲しい思いさせたくない。


そりゃあ、俺的にも行って欲しくは無いんだけどさ。


「ちゃんと2人でお話したいんです…」

「うん。でも話したら、余計に離れられないんじゃないの?」

「それは……」


もう二度と後悔して欲しくないから。


「俺と新しい恋。始めてみない?」

「…え?」


絶対に離さない。


絶対に誰よりも幸せにする。


絶対に笑わせてみせるから。


だから。


「俺、梓ちゃんが好き。」


少しずつ、俺の方にも振り向いて___。



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