偽りの愛言葉
梓side



数ヶ月前、私は隼也と同棲をしていた。


いつからだっけ…


お互いが、すれ違っていったのは。


「ねぇ、隼也!今度の土曜日なんだけど…」

「ごめん。疲れてるから先寝るわ。」


彼氏の隼也は、モデルの職業についていた。


ほとんど1週間は、雑誌やテレビの予定で埋まってて大忙しの隼也。


世間に知れ渡ってる彼は、プライベートも厳しくて。


いつしかデートさえも出来なくなってた。


それでも、ただこうして居れることが幸せって、自分に言い聞かせて願望を封印させてた私。


ワガママ言って、嫌われたくなかった。


でもね、欲を言っちゃえば…


寂しかったよ?すごく。


付き合い始めたあの頃に戻りたいって、何度も思ったっけ。


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