となりの来栖が窓を越えてきた。
1年以上もたっているのにあの悔しい光景が頭に浮かんでくる
いてもたってもいられなくなってあたしは立ち上がってスタンドの前の方に向かった
「え、ちょっ紗彩!?」
そして1番前までくると
息をすうっと吸って…
『ばっかやろーー!!』
大声で叫んだ
しんっ…と静まり返った体育館内
全員がこっちを向きぽかー…んとしている
こんなことをしていいのか分かんないけど自分と重ね合わせてしまった
こうなったら怒られる覚悟だ
そして
「あんたたちさ〜何やってんの?
エースがいないとバスケできないわけ?
昔から見てきたからそりゃ柚が強いの知ってるよ
確かにその大事な鍵を握ってる柚ケガした。だけど何?
チームのみんなの力はエースの力で成り立ってたの?
違うでしょ!
もっと胸はって気合い入れてシャキッとがんばりなさいっ!」
マネージャーが応援のために声をかけている…とかならまだこんなこと言うのは分かる
けどあたしは完璧な部外者だ…
たまに柚の顔を見に行ってるから数人の人には認識されてもらってるとは思うが、知らない人の方が多いだろう…
よくこんなこと言えるなぁって自分でも思う
柚だけのためってわけじゃない
そのたまに顔を覗かせた時にだけでも見たみんなはいつも輝いていた
ここで終わって欲しくない。そう心から思った
「そして柚!
僕はケガしたから…とか思ってんじゃないよね?
そんなこと1ミリでも思ってんなら今すぐやめろ!
そうじゃなければ左手でも何でも使って勝ちきれ!」