駆け引きは危険で甘く、そしてせつなくて
何かいつもと違う
今日もまた、彼を待ち構える女性社員がロビーで待機しているのはいつもの事なのに、私だけが今までと違う。
金曜の夜に、彼と女性が一緒にいるところを目撃しショックを受け、長い片想いを吹っ切ろうと決意してマンションに帰って来た。だが玄関を開け部屋の中に入った途端、自分の意思に反して涙が溢れて止まらなかった。
ポロポロ…ポロポロ…
どうして止まらないのよ。
拭っても拭っても、止まらない。
そのうち、体の水分が全部涙になって出てしまうのではないかと言うぐらい泣いたのだ。
朝、目が覚めた時の酷い顔といったら…
むくんだ顔に瞼がボンボンに腫れて、化粧も落とさずにいたから肌もカサカサで、鏡に映った自分を見た時には、今日が休みで良かったと思うほどだった。
シャワーを浴びて顔を洗いスッキリしたら無性に部屋の模様替えをしたくなり、土曜日は丸一日かけて家具の配置を変えて部屋中の掃除までしていた。
そしてその夜はパックをして1日経てば、酷い顔もなんとか現状に近い状態に戻った気がするが、まだ、瞼は腫れぼったいのは、模様替えに集中している時は良かったのに、ふと思い出しては涙がポロリと頬を濡らしていたからだろう。