駆け引きは危険で甘く、そしてせつなくて
普通、自分で優良物件て言うか⁈
まぁ、そこが彼らしいと反論する気もなくなるのは、彼の自信溢れる雰囲気のせいだろう。
「どんな優良物件でも、1人の女性とちゃんと付き合えない人は願い下げです」
「ちゃんとね?お前の言うちゃんとってなんだ?」
「…それは…一夜限りじゃなく、手を繋いでデートしたり、食事したり、その…好きだと言いながらキスして…」
「キスしての続きは?」
「言わせないでください。要は、恋人として付き合えない人は、対象外です」
「俺は、独身だけど」
「知ってます。だから、そういう事じゃなくて私とだけ付き合ってくれる人がいいんです」
「なんだ、そんな事か!」
そんな事か?
そんな事が出来ないのがあなたでしょうが⁈
思わず、心が叫んでいた。
口に出さなかっただけ褒めてあげようと頷いていると、それを勘違いした彼は私も彼の意見に頷いたと思ったらしい。
「なら、簡単だ。今、後腐れない女を探していた。しばらく俺の女にならないか?」
はい⁈
何を言っているんだろう?
…私の本心も知らないで酷い男だ。
でも、これは最初で最後のチャンスかもしれない。