駆け引きは危険で甘く、そしてせつなくて
ジンジンとする腫れぼったい唇だけを残されて、物足りないと思ってしまう。
「…突然、こんなふうにキスするかもな」
男の色気を纏った表情で見つめ、腫れぼったい唇を艶めかしい動きで焦ったく触る彼の指が、甘く身体を刺激していくと、肩が勝手に窄められ身震いしていた。
それを見て笑みを浮かべた男の指が、唇から左頬を数回撫で満足気に笑う。
「物足りないって顔だな」
図星を突かれ、一気に顔が熱くなる。
その時、彼がわざとわかってやっていたことに気がついたが、言い返す言葉が思いつかない。
ぐうの音も出ないと言うのは、こう言う事なのだと頭の中は冷静なのに、またもや、彼の方が上手だった事に悔しくて、言葉が出ない代わりに睨むしかなかった。
「そんな潤んだ目で見つめても、これ以上はお預けだ。何か企んでたんだろうが残念だったな」
私の頬を撫でていた手で、顎をグイッと上に持ち上げ視線を合うように仕向け見つめるてくる男。
「俺のかわい子ちゃんは俺をどうしたかったんだ?言ってみろよ」
俺のかわい子ちゃんと言われ、なんだか嬉しい反面、恥ずかしくて赤くなる顔をジッと見られたくなくて首を左右に振り顎グイから脱出を試みた。