駆け引きは危険で甘く、そしてせつなくて
「りいさ…」
愛しい女を呼ぶように艶のある声で名前を呼ばれ、色っぽく頬を撫でるその手のひらに擦り寄り彼の手にキスをする。
すると、期待していた通り頬に彼がキスしてきて、耳朶を這う熱い吐息とキスに身体が反応し、彼の首に腕を回してすがりつくと甘い吐息を彼の首元に吹きかけていた。
「もう、なかった事にさせないからな」
ベッドまで移動する間、唇を塞ぎ何度もキスを重ねて行く度、淫らにキスを深める男の手は服越しに肌を撫で、感じる箇所を探していく。
その度に、声にならない声で反応してしまうのは、感じているからだった。
艶めかしい表情と熱を孕んだ目で見つめられ、ぞくっと甘く疼く身体から一枚一枚丁寧に服を脱がして行く行為を拒めない。
ずっと、この表情が見たかったのだ。
「…部長」
「こんな時に役職で呼ぶなんて、まだ何か企んでいるのか?」
「企んで…なんて…」
いないと言いたかった唇は塞がれ最後の一枚が体から脱がされて、肩を押されベッドに仰向けに倒れたその上に彼は跨ってきた。
「諦めろ…よそ見なんてできないぐらい、この体には俺を覚えてもらう。まずは、役職名はやめてもらうぞ」