駆け引きは危険で甘く、そしてせつなくて

彼女らをそのまま放置していつものように私の肩を抱き、エレベーターに乗りこんだ。


「着替えに戻る時間ありましたよね⁈」


ドアが閉じたと同時に冷ややか口調で尋ねたが、


「着替えならここに置いてあるし、いちいち帰るの面倒だったんだよ」


大きなあくびをして、こちらが怒っているのなんて気にならない様子に、怒りが増す。


「それならそれでちゃんとしてきてください。なんですかその格好⁈いかにも朝帰りですって感じのヨレ方に、察してよって…何言っちゃっでるんですか?」


一気に捲し立てて睨んでやる。


「里依紗と一緒に居たって言えばよかったのか?」


「それは、やめてください」


力強く拒んだ。


「なら、あぁ言うしかないだろう⁈」


いやいや、優也がきちんと身だしなみを整えて着替えてきたらよかった事じゃないのか?


「ほかの言い方があると思います」


「何言ったって信じないさ。ああいう女達は、自分のいいように解釈して明日にはケロっとして色目を使ってくる。別に俺は里依紗と一緒に居たって言ってもいいんだよ。だけど、お前が嫌だろうから言わなかったんだぞ。感謝されてもいいのに怒られるなんてな」
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