駆け引きは危険で甘く、そしてせつなくて
みんなの驚く表情に、ニコッと笑った。
「嘘ですよ。結婚なんて相手がいないとできないですから、まだまだここで頑張ります。とりあえず、部長のいない間にちょっと出てきます」
ホッとした表情の後、いってらっしゃいと手を振る同僚を残して、第5会議室に。
トントン…
一応ノックの音を出し中を伺った。
ドアを開け、入るように顎で促す優也のどこがみんなは機嫌良く見えたのだろう?
不機嫌オーラのままだ。
「何のご様ですか?」
2人きりだが部下として尋ねながら中に入ると、ドアが閉まる音にプラスされて鍵が閉まる音がした。
突然、背後からギュッと抱きしめる腕は優也のもので、その腕をそっと撫ぜながら尋ねた。
「どうしたの?」
「…りいさが、…冷たい、もう俺とのこと嫌になったのか?体の相性は良かっただろう⁈」
まさか…嫌になるどころか、体を重ねたせいで離れられるだろうかと悩んでいたりするのに…露骨に口にされてその腕を抓った。
「仕事中に抜け出してする話?」
「俺には仕事より大事だけど、どうなんだ?」
彼は痛みに一度唸ったが、私の体の向きを変え真正面に迫ってくる。
言わないと離してもらえない雰囲気だ。