駆け引きは危険で甘く、そしてせつなくて
困った…
こんなに好きなのに、好きだと言えない。
後腐れのない関係だと言いながら、彼は好きだと言ったり、嫌いなのかと聞いてきたりする。
こちらの思う関係と、彼の思う関係の違いに戸惑っている。
続いている間は、好きだと言っていいのだろうか?
言ってしまったら、私は…もう後腐れのない関係で満足できなくなる。
体だけじゃなく心も欲しくなる。
私だけの…
「まさかそんな理由で機嫌が悪かったんですか?」
「そんな理由?あぁ、そうだよ」
彼女にとって、そんな理由なのかと腹立たしくなる。
俺なりに精一杯の愛を伝えているというのに、彼女には届かない。
「まだ始まったばかりなのに、いつか終わるなんて言われたらそう思うだろう?」
「そういう約束でしたから…」
自分から持ちかけた関係だった。そうでもしても彼女が欲しかった。
体を重ねて、離れなくすればいいと思っていたが、心の声を聞きたくなる。
好きだと言ってくれないりいさは、何に縛られているのだろう?
「俺じゃダメなのか?」
「…ダメじゃ…ない。だけど、私達の関係に好きとか嫌いとか言っても仕方ないじゃない」
ドンと拳を壁にぶつけ届かない想いに苛立った。