駆け引きは危険で甘く、そしてせつなくて
切ない恋にサヨナラ
えっ…


いま…なんて⁇


契約を解消って言わなかっただろうか?


抱きしめる腕が体を包むけど、言葉と行動の食い違いに意味がわからないでいた。


髪を撫で、おでこの生え際辺りに何度もキスを繰り返す男は、こちらの反応を待っているようだ。


「…もう、わたしは…いらないって事?」


関係を結んで、まだ数日…


予想外の速い展開に、心がついていかない。


さっきまでの恋人同士のような時間は何だったのだろう?


最後だから…


彼なりの優しさだったのだろうか?


こんなに早く終わりが来るなんて…


予想外の言葉に思考がついて行かない。


ショックが強すぎて彼の顔を見ることもできず、俯き彼の足元を見ていたが、しばらくするとぼやけてくる。


こんなにショックを受けるなんて、自分自身思ってもいなかった。


この関係に終わりを告げられたら、笑顔で『楽しかったわ。これからは部下としてよろしく』なんて言うつもりでいたのに、いざ、言われると何も言えない自分がここにいて、唇をきつく閉じ嗚咽を飲み込むのが精一杯だった。


「りい…さ?」


心配気な声で私の肩を掴み顔を覗こうとする男から逃げるように、顔を背けた。
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